篆刻とは…
篆刻の基本的な内容について解説します。
篆刻とは
篆刻とは、印章を作成する行為を指します。
篆書を刻して印を彫ることから“篆刻”といいます。
「篆書(てんしょ)」とは、
物の形を象った象形文字の様相を残す漢字の最も古い書体です。
現在では、専ら印鑑の文字に使われている書体です。
私は、実用の印鑑と篆刻による印を区別しています。
実用の印判は、仕事の上でや公的な場で用いるものであり、
作品として特定の意匠を盛り込まず、偏りなくオーソドックスに作られるものです。
実用印を専門に制作する人の事を「印判師」といいます。
これに対し、篆刻の印は、趣味や日常生活の中で私的に用いるものです。
たとえば、
お手紙を書いて印を添えたり、
大切な本に蔵書印を押したり、
書画の作品の落款に用いたり・・・。
ですから篆刻の印には、
使う人のイメージに合わせて自由に意匠を盛り込むことが可能です。
篆刻を専門とする人の事を「篆刻家」といいます。
私はわかりやすいよう、実用印を“ハンコ”、篆刻の印を“印”と称しています。
また篆刻による印を“雅印”や“遊印”などと称して、実用印と区別することもあります。
篆刻の起源と発展
篆刻とは、元々中国の文人によって始められたものです。
文人とは、
知識・教養を兼ね備えつつも、世を憂いて政治などの表舞台から姿を消し、
隠遁とした生活の中で主に詩・書・画の作品を作り、
自らの胸中を吐露し社会を風刺した人たちのことです。
この文人の一人である元末の王冕(おうべん、1310 - 1359)という人が、
ある日刻印に適した石を偶々見つけ、自分の作品に押す印を自分で刻しました。
これが篆刻の始まりであると言われています。
また、この時、王冕が見つけた石材は「花乳石」といい、
これは現在の「青田石」であると言われています。
▲王冕の画と刻印「王冕私印」
明~清代には金石学が流行し、
文人たちの多くは中国古代の金石文字をよく学び、多くの書画篆刻の作品を遺しました。
特に篆刻をよくした文人のことは「印人」と称されています。
彼らの作品は、古代文字から学んだ正統な文字造形と金石趣味の古色を帯びた質朴な味わいを持ち合わせており、現在篆刻を学ぶ上で重要な範の一つとなっています。
伯 豊 道 人 Hakuhou Doujin
1983年生まれ 東京都出身
・東京学芸大学 書道専攻 卒業
・東京学芸大学大学院 表現教育コース 修了
・日展入選 2回
・全日本篆刻連盟 評議員
・謙慎書道会 評議員
【ご連絡先】 yuukikawauchi1983@yahoo.co.jp
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